健康福祉局・・・
健康福祉局と言えば、介護や母子医療、生活保護などを扱う部局で、その業務内容のヘビーさ、重厚さもさることながら、毎日毎日残業が終電まで続く役所の中でもトップクラスの超重労働な部局だ。
多少の残業は全然いいにしても、毎日終電はキツすぎるぞ・・・
おれ、介護とか福祉とか何も知識も興味もないぞ・・・
いったい何のために役所に入ったんだおれは・・・
と席に戻るたった30秒くらいの間に走馬灯のように色々な考えが頭の中を駆け巡った。
わたしの表情があまりに分かりやすかったのか、周りの同期生からは「希望と違ったんやろ?」「まあおれもアカンかったけどとりあえず頑張るしかないよな・・・」と励まさられる始末。
大卒事務職80名ほどいたなかで希望通りの配属が叶ったのは20%くらいだろうか、残りは希望とは異なる配属だった。
人気のない部局に配属希望を出したものはけっこうな確率で希望どおりになっていたかもしれない。
そんななかで大学時代に4年間会計の勉強をひたすらやってきて、簿記1級の資格保有者であり、税理士試験の半分を合格し、税理士試験合格まで残り数科目に迫っていた同期生の逸話がすごい。
とにかく行政の経理業務に関わりたいと公務員になり、業務経験はないものの、新人の中でもその豊富な経理・税務知識から誰もが財政局に配属されるとばかり思っていたら辞令書にはなんと「環境事業局」とあった。
環境事業局は、ごみ処理がメインの部局でやはり人気がない部局の一つ。
ただ、この部局の計理課(なぜか大阪市では経理ではなく計理という)にでも配属されればマシだったのだろうが、結果はこの1週間後に彼は「現場」と言われるごみ処理所の一般事務に配属となった。
事務職10名未満に対し、現業員と言われる現場作業員が100名以上がいるけっこうなすごいところだ。
そして一方で財政局に配属されたのは、会計の「か」も触れたことのないような同期生だった。
「なんで自分が財政局なんよ~」なんて台詞を聞いたのを覚えている。
結果的に彼はと言えば、もうわたしのショックなど目じゃないくらいショックだったのか、最終配属(ごみ処理所)が決定した3日後に辞表を出し、早々に大阪市役所を後にした。
局内や採用担当者からの必死の引留にも一切耳を貸さなかったらしい。
そう、同期生からの退職組第一号になってしまった。
※もう10年前のことなのでいま彼が何をしているのかもうさっぱり分かりませんが、新人研修中は席が近いこともあり非常に仲良くしてもらいました。もしわたしのこのブログを偶然にもみたら是非連絡ください。
役所であろうが民間企業であろうが配属にいちいち配属先希望を聞くのは現実的ではないし、いちいち聞いていると配属決定などできないと思う。
ただ、この事例から思うに、本当に役所の配属先決定というのは適材適所なんて考えていないんじゃないだろう。
所詮わたしの希望(経済局や計画調整局)なんて資格や現実的スキルという実態が何も伴っていないわがままみたいなものだったと今振り返ると思うが、彼の場合は一体何を考えこの配属先にしたのか、そしてお金に関する高い専門知識が必要とされる財政局の経理業務を全く会計知識のない者を配属させるのはどうなのだろうか。
「これが適材適所」「新人教育のため」「幅広い知識をみにつけさせるため」など何とでも言われそうだが、役所全体、市民からの公僕という大きな視点から考えたらこれが果たして適材適所だったのだろうか、という疑問は今でも強く持っている。
そしてわたしはと言えば、辞令交付の翌日から早速局内研修が数日の日程で始まった。
そう、この数日の研修の後に健康福祉局内での最終的な配属先が決定するのだ。
続く。
【まとめリンク 第2章 入庁】
1 入庁1週間前
2 入庁式1 決意新たに
3 入庁式2 労働組合の勧誘
4 意味のない新人研修の始まり
5 日々飲み会に精進
6 新人研修とは何だったのか
7 希望配属先面談
8 配属辞令の交付
9 運命の分かれ道
10 局内研修の開始
11 局内研修
12 福祉か保健か