3週間の予定での新人研修も残りわずか。
大阪市行政の基本や公務員とは何か、役所組織とは、ということを教えてくれるはずの新人研修も結局ほとんど何も頭に残らないまま終わろうとしていた。
朝から夕方まで1日4コマくらいの内容ではあったものの、講師陣が現役公務員であるからかとにかく講義内容が低レベル極まりないものが影響していたのかもしれない。
講師としてやってくる現役公務員の課長クラスにまるで講義に対する情熱もやる気もないのだから、そんな状態で良い講義なんてできる訳がない。
よい講義というのは、必ず講師陣に情熱が感じられる。
言い換えてみれば、東進ハイスクール予備校のCMのような熱い講師陣を見れば一目瞭然。
見るからに分かる、もしくは内に秘めたる情熱があるからこそ受講生もそれにつられて聞こう、学ぼうとするものだろう。
話がすこしそれるけど、公務員にならなず民間企業で働いている大学時代の同級生に新人研修がどのようなものか聞くと、たいがい厳しい内容のものが返ってくる。
社会人マナー、営業職なら契約獲得までの一連の流れ(ロープレ)の練習、毎日行われる課題テストなど、会社によってはまちまちながら1日も早く会社の「戦力」として計算できる人材になれるためのプログラムになっている。
そしてたいていの会社が「学生のぬるい感覚」を取り払わせるために厳しい指導を行う会社が多い。
一方、この役所の新人研修はといえば、「戦力」にさせるための研修というよりは、「公務員らしい公務員」にさせるための内容のように感じられた。
それは中途半端な強い思いを持って入庁してくる新人職員を、一般的な従順な公務員、もっと言えば平均的な公務員にさせるための研修。
別の言い方をするなら、この新人研修の後に行われる配属先を決定する前までに尖った人材を丸い人材にするための研修とでも言えるかもしれない。
わたし自身も研修初日と研修が続くにつて顔の締りがなくなっていくのが分かるような気がした。
『よっしゃー やったるぞ~』
という強い感覚が弱くなってしまったのだ。
まあある意味、これこそ『役所の洗礼』とでも言えるかもしれない。
『まあまあそんなに張り切るなよ、役所生活40年間は長いんやし。ぼちぼちやっていこうや』
と悪い声が聞こえてくるようだった。
そしてわたしもたった3週間という早々にその悪い声に感化させられてしまったようだ。
続く。
【まとめリンク 第2章 入庁】
1 入庁1週間前
2 入庁式1 決意新たに
3 入庁式2 労働組合の勧誘
4 意味のない新人研修の始まり
5 日々飲み会に精進
6 新人研修とは何だったのか
7 希望配属先面談
8 配属辞令の交付
9 運命の分かれ道
10 局内研修の開始
11 局内研修
12 福祉か保健か