大学院時代、運が良かったことのもう一つは強烈なゼミ教授に当たったことだろう。
教授は、元々地方銀行の副頭取まだ務めた人らしく業界ではかなり有名な人で、風貌からして異様な迫力があった。お歳はたしか65ちょっとだろうか。
いけいけどんどんで仕事をしていたと自分でも言われてたくらいなので、とにかく半端なことが嫌い、何事も全力で、そして全てのことに対して筋を通さないと許さない人だった。
そんな教授なので指導法が厳しいのは当たり前で、毎週のゼミ時間は指導というより説教タイムのような苦痛な時間だった。
課題の答えに一つ気に入らないことがあると、30分はそのことだけをなぜ気に入らないのか理論と精神論を交えて説教される。
もちろん人生経験の浅かった自分は頻繁に説教され、説教されすぎて半ばキレそうになったことも一度や二度ではない。
中でも一番説教の中で言われたのは、
『プライオリティ(優先順位)をしっかりつけろ、何がいま最も大切なことなのかオマエはまるで分かってないね。そんなんじゃキミ、この先やっていけんよ』
と。
いくつかの事象が重なった場合、一体何から優先的に行わないといけないのか、その判断基準が自分の中で全く定まっていない、ともう何度言われたことか。
ただ、何となく意味は分かっていたつもりでも、社会人経験のない自分には正直なところその意味自体がよく理解できていなかった。
結局のところプライオリティって何なんだよ・・・と。
このことの意味が分かりだしたのは、公務員になって3年目くらいからだろうか。
自分の人生経験や周りの教えをミックスさせ、自分なりのプライオリティをつける判断基準をとにかく早く身につける。
判断基準がないと、結局何も判断や決断ができない。
つまりは、自分の判断基準に信念と覚悟を持て、ということだと解釈している。
何度も繰り返し説教され、厳しく指導されたことは本当によかった。
あれだけ説教されるのは老体にも精神的にもこたえただろうし、誰だって教え子からは嫌われなくないだろうに、よくぞあそこまで自分を厳しく指導してくれたことにただ感謝の気持ちしかない。
あの時の説教された意味が最近よく分かるようになってきた。
続く・・・
【まとめリンク 第1章 公務員試験】
1 大学院へ
2 プライオリティを身につけろ
3 役所と起業家精神
4 イカした公務員を発見
5 役人らしくない公務員
6 公務員試験5ヶ月前からの勉強
7 大阪市か京都市か
8 大阪市を受験した理由
9 試験当日
10 まさかの合格
11 記憶にない2次試験
12 いよいよ最終面接
13 合格発表
14 恩師からの言葉
15 合格発表後の懇親会
16 大学院中退へ