今月はなぜか現役公務員の方から転職相談が多い。
ブログを読んだ、というところからの相談が多いが、そもそも公務員からの転職は実に厳しいということを今日はどうしても書きたい。
まず、そもそも民間の会社の多くが元公務員を採用したがらない。
多い理由としては、
1)仕事ができなそう
2)公務員も務まらないヤツが民間で働ける訳がない
3)何だか頭が固そう、融通が利かなさそう
ただ、これらの多くは思い込みというところが大きい。
大阪市役所を辞めて今で2年ちょっと経つが、正直、公務員も民間も「人」はそんなに変らない、かなという印象が強い。
公務員でも恐ろしく仕事ができる人は実際にはごろごろいたし、逆に全く話にならない民間の人も大勢いる。
ただ、『公務員=仕事ができない』という、広く、そして非常に深い世間の「思い込み」を払拭することは容易ではない。
というのも、現役公務員が転職するために人材紹介会社に登録したり、求人媒体から求人に応募しても、残念ながら非常に厳しい現実と結果を続々と告げられることが多い。
特に30歳を超えてしまうと公務員からの転職は不可能なのでは、と思えるくらい厳しい。
1年ほど前に真剣に「公務員からの転職支援サービス」を検討し、多くの人材紹介会社に相談に行ったが、良い回答をどこからも得られなかった。
厳しいところになると、『公務員なんて紹介できる訳がないよ。ロクな登録スタッフがいないのか、とウチの信用問題にもなりかねないよ』と何とも過酷な言葉を発する会社もあった。
『でも私は公務員の世界から脱却したい。公務員を辞め、もっと前向きに仕事や人生をとりかかってみたい』
という前向きな意思で公務員からの卒業を本気で考えるならば、転職よりも独立・起業をするほうがいいのでは、というのが自分の考えだ。
「転職より独立・起業!?そんなのできる訳がないだろ!」と思われるだろうが、公務員を辞めた人間に対する世間の目は想像される通りに冷たい。
しかし、独立・起業になるとなぜか急に世間の目が変る。
「おぉ~公務員からの独立したの??頑張ってるね、応援してるよ!」と。
この違いは何だろうか。
前向きに仕事・人生をしたいから公務員を辞めた、という現実は同じなのに、明らかに世間の見る目は、『独立・起業>転職』というのは。
役所という組織が嫌だから、村的な雰囲気に耐えられないなど、役所の旧態然とした組織を嫌になる人は非常に多い。
が、組織という点では、役所も民間も同じだ。
結局、役所という組織が会社という組織に変るだけで、役所の組織に馴染めなかった人の多くは、会社の組織にも馴染めない人が多いように感じる。
ただし、当たり前のこととして公務員からの独立・起業はそう簡単に上手くいくものではないことはきっちりと考えておくべきだ。
自分も1年目は倒産するんじゃないか、と思えるくらい苦労しまくりだった。
公務員からの独立・起業に関してもし、何のスキルもコネも金もない公務員から独立・起業する場合に最も必要なものは何かと聞かれたらもうこれしかない。
『覚悟』
これが最もだ。
公務員のような安定身分保証、毎月保証された給与、アホみたいに分厚い福利厚生に社会保障制度。
公務員を辞めたらこれらはもう期待してはいけない。
必要なのは、全てを自己責任で元で成果を達成し、責任を全うするという『覚悟』だけだ。
これに関して話を一つ。
ついこの間、今年冬に相談に来られた当時、現役公務員の方から嬉しい報告があった。
「今は公務員を辞め、漫画家として仕事を新規受注でき、新しい生活を始めることができた」というもの。
いただいた文中には、
『生計立てるにはほど遠いんで漫画家ってほどではないですが
しかし人は何かで銭稼ごうと思えば何でもできるな、とは思いました。』
と。
これこそまさに『覚悟』だと思う。
公務員を辞めようと本気で考えている方は、まずは『覚悟』を決められるかどうかから始めたらいいと思う。
この段階での『覚悟』ができないようなら公務員を辞めるべきではない。
公務員を続けながら新しい生き方を模索すべきだ。
脱公務員は大変だが、脱公務員の後は公務員時代には決して経験できない喜怒哀楽のありえない全ての感情を経験できることは間違いない。
今後、公務員を辞め、新しい仲間が増えることを期待しています。