今月は例月より非常に多くの個別相談のご依頼をいただいており、すでに1月の20日間だけで10件の個別相談にのらせていただきました。
そんな中、先日興味深い個別相談を頂戴しました。
このブログタイトルのとおり、相談内容の多くは「公務員→転職や起業、退職」と公務員を辞めようかと悩んでいる方からのものです。
ところが先日受けさせていただきました相談内容は、これから社会人として就職しようかという現役大学4年生の方からのものでした。
本人ご了承のもと簡単に相談内容をまとめてみますと、
・昨年夏の終わりに就職活動の成果として制作系の中堅広告代理店から内定をもらった。
・ただ、このすぐ後の昨年秋に某地方役所から一般事務職の合格通知をもらった。市役所の仕事は分野にもよるが興味がないことはない。生活保護(ケースワーカー)や広報関係に興味を持っている。
・制作の仕事には興味を持っていてどちらの道に進んだらいいのか悩んでいる。
・仕事と人生に求めるのは、順にやりがい、安定、自分の時間確保
・内定先の会社をステップアップして大手企業へ転職できるならしたい
・勉強は嫌いではないので、自由な時間にスキルアップのため色々と勉強をしていきたい
大学在学中から制作系に興味があり、志望どおり制作系の会社から内定をもらえたまでは順調でした。
そのまま何もなければ今年4月からはその会社の新人になっていたことでしょう。
ただ、そのすぐ後に受験倍率が低かった某役所を力試して受けたら合格してしまったそうです。
ご本人もまさか合格するとは思わなかったようです。
そしてさらに悩むことに内定を受けた会社の経営状況が芳しくなく、給料カット、2年間賞与なしという状況とのこと。
悩みますよねこれは。
経営状況は芳しくないけど興味ある仕事をとるか、安定はしてるけど特に興味のない仕事をとるか。
それに役所入庁の場合、どんな部署(業界)に配属されるのか分からないところもまた悩みであり怖いところです。
私のように経済関係の仕事をしたくて入庁したのに、今まで一度も興味を持ったことのない保健衛生の部署に配属ということも全く珍しくありません。
ここが民間での就職活動のように好きな業界だけを受けられるという世界と異なっているところです。
皆さんならどうアドバイスされますか。
今回の相談は人によって回答も特にまちまちになりそうで、現時点では100%納得いく答え(決断)は難しいでしょう。
そして何となく数年後の結果論での答えが最適な答え「あの時ああしとけばよかった」になりそうな気もします。
私はこのご相談に下記のように数ある一つの意見としてアドバイスいたしました。
・相談者の仕事や人生に求めることの2位、3位は公務員が特に実現しやすい分野。特に経営状況が芳しくない会社に安定を求めるのはそもそもが無理難題。
・内定先の経営状況がすでに芳しくないのは気がかり。やりたい仕事であっても入社後すぐに倒産リスクもある。いくら倒産といえども次の転職活動(第二新卒)ではマイナスに働いてしまう。
・確かに達成感を感じられない仕事は民間企業よりも役所のほうが多いかもしれないが、どんな仕事でもやりがいのある仕事を見つけることは可能。配属確率の問題になるが、生活保護(ケースワーカー)に関わる仕事に就きたい職員は多くないので多少は配属面接時に喜ばれるかもしれない。
・社会人の転職は、世間で言われてるとおり多くの場合は、今の会社より上流の会社へ転職成功するのは難しい。そのため中堅企業から大企業への転職は一筋縄ではいかないことは認識しておくべき。
・なかなか役所内で制作系の仕事に携われる機会は多くないが、逆に一般事務職でそのスキルを持っている人もいないので重宝される可能性も高い。現に私はWEB関係のことで重宝された。
・勉強が好きで自由時間に色々勉強していきたいと考えるなら公務員が最適。配属先によるが土日は基本的にお休み。役所内の半強制に近いサークル活動や組合活動は避けて通れないかもしれないが、それでも一般の民間企業よりは時間確保は容易な傾向にある。
・大手制作会社は正直厳しいかもしれないが、中堅制作会社は公務員を退職した後でも転職で入れる可能性は十分にある。公務員試験を突破し公務員になれる機会はそうそうあるものではないので、今回の合格を一つの人生の転換期として活かすことに挑戦してみは?
つまり、今回の場合、
仕事へのやりがいや好きな仕事 > 安定・自由な時間
というよりは
仕事へのやりがいや好きな仕事 = 安定・自由な時間
もしくは
仕事へのやりがいや好きな仕事 < 安定・自由な時間
という図式を相談中の話の内容から多く感じ、また今は優先すべきだと考え公務員になることをお勧めしました。
公務員になりたくてもなれない人も大勢おりますし、今は興味があまりなくても役所の仕事でやりがいを見つけることももちろん可能でしょう。
私も最初に配属された保健衛生の仕事は最初は嫌で嫌で仕方ありませんでしたが、関わっていくうちにどんどん興味を持てるようになり、仕事へのやりがいも自然と見つかったものです。
と、以上のように今回は公務員になることを一意見としてご提案しました。
第三者からの様々な意見をまとめてもらい、最終的にご相談者が決断された内容を尊重するのはもちろんですが、色々と悩まれる姿に6~7年前の私と重なり、何だか懐かしい気持ちもでてきました。
相談者の方の目や雰囲気からにじみ出る礼儀を見ているとどちらの世界に飛び込んでも十分にやれそうな人材に感じましたが、私個人としては役所でのほうがより相談者の力を活かせるのではと感じました。
悩んでいる最中はしんどいですが、後々から振り返るとよい経験になるものばかりですので、ぜひ悔いのない決断を下して欲しいと考えています。