十日戎と酉の市の共通性

まずはこの写真から。

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ぱっと見た感じでは、関西で馴染み深い毎年1月にある商売繁盛のお祭り、「十日戎」の縁起物の写真。
十日戎の様子はこちら
でもよくこの縁起物を見ると、十日戎で一般的な米俵や宝船に縁起物を載せているのと違い、熊手(竹の先端に縁起物が装飾されたもの)というもの。

そう、この写真は十日戎ではなく、関東の「酉(とり)の市」での縁起物の様子。

先週、東京出張の際に馴染みのお客さんの会社に行っていたときに、
「そういえば今日は酉の市ですよね~行かれるんですか??」
みたいなことを言われたことが始まりだった。

「とりのいち?何ですかそれは??」と尋ねると、「えぇ??知らないのですか??」とけっこう驚かれた。

詳しく教えていただいたところ、酉の市とは毎年11月の酉の日に開催される商売繁盛のお祭りで、年によって2日あったり3日あったりする関東ではメジャーなお祭りらしい。
そして、商売繁盛を祈願したのちに縁起物の熊手を購入し、会社に飾るのが関東の一般的な慣習らしい。

言ってみるなら関西で一般的な十日戎の関東版。
ただ、「商売繁盛」というキーワードは同じながら細かい部分がそれぞれの地域性があるようだ。

関西では恵比寿様を祀り、関東では日本武尊を祀る。
関西では毎年1月10日前後の3日間、関東では11月の酉の日に開催。
関西では笹に縁起物をつけるが、関東では熊手に縁起物をつける。

と、聞けば聞くほどあまりに興味深い祭事だと感じたので急遽行ってみることにした。
たまたまこの酉の日に出張に来ているとは、どんな祭なのか様子を見てこいという天の声に聞こえたから。

酉の市は都内30箇所ほどで開催されているらしいが、一番規模が大きいのが浅草の長国寺と鷲(おおとり)神社なのでここに行ってみることにした。
全てのスケジュールが完了してから向かったので到着したのは夜の9時過ぎ。

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夜9時過ぎなのにすごい人出。
門近くになると大行列で全く進まなくなったので、迂回して別ルートから入ってみた。
夜の12時までこの活気が続くらしい。

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この提灯の雰囲気は十日戎とそっくり。

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十日戎では縁起物に企業名や事務所名などは基本書かれていないが、酉の市では予約?なのか企業名が書かれた札が貼ってある。
また、大きい熊手になるととてつもなく大きく、その大きさは十日戎での宝船の縁起物を凌駕する大きさ。
何でも毎年少しづつ大きくしていくのが通例らしい。このあたりは十日戎でも同じ。

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カメラを向けると惜しみなくポーズを決めてくれる売り子さん。
どの売場もしっかりと法被を着て非常にサービス精神旺盛。
やはり縁起物なのである程度の正装をしてもらうほうが買うほうとしては気が引き締まっていい。

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絶え間なく縁起物売り場のあちこちで手締めの掛け声が響き渡る。
商売繁盛を祈願して、縁起物を購入するとその売り場総出で手締めをしてくれるらしい。
この慣習は十日戎にはないので非常に素晴らしいかもしれない。
ちなみに売り子のおっちゃんの多くは、ちゃきちゃきの江戸っ子という感じの人が多く、非常に見ていて気持ちがいい。
大阪のガラの悪いおっさんと比べると、江戸っ子の方々は目がとても澄んでいて非常に筋を通す気持よさを感じる。
はっきり言えば自分は江戸っ子の粋な雰囲気が非常に好きだ。
見ていて素直に格好いいと思う。

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縁起物売り場にあったキティーちゃん熊手。
ネタなのか本気なのか・・・
特注品などは間違いない。一体いくらするのかそればかりが気になる。

と、細かい部分では異なるものの非常に十日戎と酉の市は似ている慣習を持つ祭事だった。
祭の起源は全く異なり、この2つの祭事には特に関連性はないらしいが、東西の別地域で発生した商売繁盛の祭事がここまで似た特色を持っているとは特筆すべきことだと思う。
縁起物も笹や宝船、熊手という土台の違いこそあるものの、飾り物は俵や小判など共通しているものも多い。

今回は十日戎に浮気してはいけないと思い何も縁起物を買わなかったが、東京に事務所を構えた後には大阪本社の縁起物は十日戎で、東京支社の縁起物は酉の市できっちりと揃えていきたいと思った。
異なる地域で共通性を感じられる祭に出会ったときの喜びは非常に大きい。
教えていただいたクライアント様、どうもありがとうございました!

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